いつか、雨はあがる。

虐待でうつ病、パニック障害を発症。自殺未遂、向精神薬・安定剤依存、入院を経て、現在は非正規で働いています。ようやく前向きになれてきました。

救済者を探し求めて

夫はまた体調が悪くなり、おとといから寝込んでいて、ずっと話していません。

夫は朝も夜もずっとベッドの中で、起き上がることもないです。

 

安全な家があるだけでありがたいし、お金のことも大丈夫とは言われているのですが、寝込んでいる夫を見ると、「結局どこへ行っても私を助けてくれる人はいないのだ」という思いが頭をよぎったりします。

掃除、洗濯、食事作り、ゴミの分別に買い出し。

消耗品の管理に確定申告の書類集め。

家のことは何から何まで私がやり、仕事にも行っています。副業もしています。

税金と家賃、電気代は払ってもらっていますし、怒られたりはしないので怖いこともないですが、時々無性に不安になります。

双極性障害の夫に無理をさせられないことは分かっているのですが。

 

愛情とは一体なんなのでしょうかね。

私は小さいころからずっと、自分の意志を尊重してもらったことがありませんでした。

こちらの都合に配慮してもらったり、気持ちを聞いてもらったり、体調を心から心配してもらったこともありません。

母はいつも、一方的に自分の思いを伝えてくるだけでした。

母が話を聞いてくれた、相談に乗ってくれたという記憶が一つもありません。

その寂しさは、心の中にいつまでもいつまでも残り続ける気がします。

 

それでも、小さいころから思考だけは自由でした。

ノートに文章を書いたり、絵を描いたりして外に表現してしまうと、部屋を漁る母に見つけられて罵倒され捨てられます。

だけど、頭の中で考えることは外から分からないのでどこまでも自由でした。

だからよく一人で考えていました。

妄想もしましたし、高校を卒業して家から出たらこうしよう、ああしようっていう計画も頭の中でたてました。

でもどんな希望も「お金をたくさん稼いで、いつか親を助けよう」につながっていました。

 

CDラジカセとウォークマンを買ってもらったことは、数少ない嬉しい思い出です。

CDラジカセは家族用ということで買ったのですが、複雑なボタンがたくさんあって、私以外誰ひとり使いこなせる人がいませんでした。

私にはそれだけが唯一自分の世界でしたから、必死で説明書を読んで使いこなせるようになりました。ラジオを予約してカセットテープに録音したり、CDを録音したりして使っていました。

そうしてそのラジカセを、結局は自分の物にしてしまいました。

 

毎晩毎晩、父と母の罵声、泣き声、なにかを投げたりする物音が聞こえていましたが、深夜にはさすがに寝静まっていました。

私はほっとした後、こっそり深夜ラジオを聞いていました。

オールナイトニッポンを聞く時もありましたが、NHKのラジオ深夜便の暗さがなんとなく落ち着いて、よく周波数を合わせました。

私はそのCDラジカセを大事にし、10年近く使いました。

暴力で床に投げ捨てられたりしたこともあり、スピーカー部分はベコベコにへこんでいましたが、私が家を出るまでずっと、壊れずに側に居てくれました。

頑丈で我慢強いラジカセでした。

 

本を読むことも許されていましたから、本ばかりはたくさん読みました。

放課後はいつも一人図書館にいました。

いろいろ読みましたが、ミステリー小説が特に好きでした。

ミステリー小説(推理小説)というのは、人間のずるさを正し、人間関係の歪みから弱い人を救済していく話が多いのです。

自分の家庭の問題を置き去りにしたまま、私は繰り返しミステリーを読み漁り、そのストーリーの中にカタストロフィを感じていました。

 

思春期~青年期、島田壮司の御手洗潔シリーズや京極夏彦の作品などを読み、問題を解決し、悩める人々を解放していく探偵に憧れました。

自分を救いだしてくれる誰かを求めていたのでしょう。

 

島田壮司の『アトポス』という作品で、ヒロインの絶体絶命の危機の時、馬に乗って現れる私立探偵

同じく『異邦の騎士』で、主人公の危機にバイクに乗って駆けつける占星術

 

白馬の王子様さながらの救済者は、私が焦がれて焦がれてやまないものでした。

でも、どんなに焦がれても、外から私の窮状を察し、異常を察知して助けだしてくれるような人は誰も居なかった。

私自身も他者に対して、巧妙に健全を装っていました。

そして自ら、誰かに助けを求めることもしませんでした。

 

他人を呪い続ける母の元で、ひたすら「他人に勝て」と教えられ続けた私は、本当は何が正しいことなのかを、全て本の中から学びました。

そして自分を救うには、いずれ自分自身が探偵(救済者)になって行くしかないと思ったのでした。

 

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7年前、うつ病パニック障害と診断され、現在は社交不安障害(対人恐怖)のかな子といいます。

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