子どもの頃のさみしさ
小さいころ、父が仕事から帰ってくるのが楽しみでした。
両親ともに夕方からの仕事で、帰ってくるのは夜中。
学校から帰ると誰もおらず、本を読んだりテレビを見たり、絵を描いたりしていました。
テレビを見たり絵を描いたりしていると母は怒ります。
帰ってきて殴られるので怖かった。
でも父は私を殴ったりはしませんでした。
帰るくらいの時間になるといつも車の音に耳をすませていました。
父かな、母かな。
ドキドキしたのを思い出します。
あの時はさみしいなんて思いもしなかったけれど、自分は家族がいなくて寂しかったんだなと今になって思います。
そしてずーっとさみしいまんま。
夫と暮らして埋まっているけれど、やっぱり心にはいつまでも穴が開いています。
人間というのはだれしもそうなのかもしれません。
「今日こんなことがあって・・・」
というのを、いいことだけでなく悪かったことも、困ったことも、悩んだことも話せたらよかったでしょうが、母にはいいことだけしか話せませんでした。
だけど、そんな風にすべてを話せる恵まれた子どもなんて、あんまりいないかもしれません。
みんな多かれ少なかれ、いろいろなさみしさを抱えているのでしょう。