小さいころの自分
一人でお風呂に入っている時、よく家のことを思い出します。
一人でぼーっとする時間がお風呂くらいしか無いからでしょうね、ありがたいことです。
母は兄のことは大好きだったようで、兄がどんなに悪いことをしても母は兄の味方でした。
兄は小さいころから、父の財布からお金を抜いていました。
私は何度も咎めましたが、親元を離れるまでそれをやり続けていました。
父はそんな兄を叱らずそれに気が付いてもヘラヘラ笑っていましたし、母も咎めませんでした。母は兄を恋人みたいに思っている感じでした。
私は人の財布からお金を抜くなんて泥棒だと思っていましたから、兄の様子は見ていたけれどそんなことは一度も真似しませんでした。
もうすぐ七夕であちこちに笹が飾ってあります。
願い事をお書きくださいの短冊に「家族みんな(義父と夫)が健康で笑顔でいられますように」と願いを書きました。何となく、自然と手が動いて書いた願いでした。
そう書いて思ったのですが、母は私や父が元気で笑っていられればそれだけでいい、とはきっと思っていなかったのでしょうね。
私には良い学校や良い仕事を(良い仕事と言うのは、人に自慢でき見栄の張れるという意味で)、父にはもっともっととお金を求めていました。
今の私の年には母は2人の子持ちでしたが、きっと今の私の様に穏やかな心持ではなく、どこへ行っても見栄の戦いだったのだと思います。
保育園に通っていたころの私はもうすでに母の自慢の道具で、華美な服を着せられみんなの前でピアノを披露するように言われていました。「うちはよそとは違う、特別な家だ」というのは母の口癖でした。
自慢気な母の態度が保母さんに嫌われていたのでしょう、家では母から叩かれ罵られ、保育園の先生からも辛く当たられる毎日でした。
今あのころの自分を遠くから見つめて本当にかわいそうに思います。
私は誰にほめられたいわけでもなかった。
ただお母さんにだっこしてほしかっただけでした。